咳嗽と喀痰
咳嗽と喀痰(岡田茂吉師御論文です)
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『結核の正体』昭和18(1943)年11月23日発行
喀痰とは、溜結毒素が発熱のために溶解した液体毒素であり、それ
を吸出するポンプ作用としての咳嗽である事はさきに述べた通りであ
る。これについて今一層詳しく述べてみよう。
そもそも溜結毒素なるものは、人体いかなる局部に成立するやとい
うに、その原則としては神経を集注する個所である。すなわち左右の
淋巴腺、扁桃腺及び耳下腺付近、前後頭部、左右の延髄部、肩部、肩
胛骨部、背面腎臓部、腕の付根、腋窩(わきのした)、肋骨部、横隔
膜付近、胃及び肝臓部、腹膜部、鼠蹊部淋巴腺等であって、ほとんど
全身にわたるといってもいいのである。それら毒結が、一度第二浄化
作用が起こり、溶解し喀痰となるや、瞬時に肺臓内に移行する。その
速やかなる事間髪を容れぬ程である。これをもってみれば、喀痰は一
定の通過路がないに係わらず、あらゆる臓器を突破するのであるから
その神秘なる事、想像に絶するものがある。これについて私の実験し
た例をかいてみよう。
私は過ぐる日、某医博に右の喀痰移行の速やかなる話をしたが、ど
うしても信じられないというのである。私は、それでは実験をしよう
といい、医博の全身を診査した所、幸いにも右側鼠蹊部に、著るしい
毒素溜結が数個あったので、それに対し私は溶解法を行うや、その都
度、瞬時に咳嗽をなし吐痰するので、ついに右の説を信ぜざるを得な
くなったのである。
右のごとくであるから、喀痰も咳嗽も喜ぶべき浄化作用である。し
かるに医学においては喀痰や咳嗽を、病気悪化作用と誤解し、極力こ
れを停止させようとするのであるから、いかに誤っているかが判るで
あろう。しかも咳嗽は咽喉部の支障として吸入法のごとき方法を行
い、または咳嗽止め薬等を使用するが、見当違いであるから、いか程
治療するといえども、その効果のないのは当然である。(岡田茂吉師御論文です)
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